名古屋城散策の記事も三回目。
一見よくある城址公園ですが、実はそこかしこに見どころがある二之丸を回ります。
東門から入った際、目の前に見える天守に惹かれる気持ちは分かりますが、一目散に向かうのは実にもったいないです。
お城:名古屋城(44)名古屋市中区
HP:名古屋城公式ウェブサイト
訪問日:2017年7月、2022年2月
訪問記
西之丸大手枡形
本丸を見終えて帰ってきました西之丸。
この部分は、かつては西之丸ではなく本丸大手馬出でした。
痕跡は少ないですが、二之丸側には不思議な立地になってしまった石垣が残ります。
二之丸側からの景色には馬出の雰囲気が残るような。
この角度からなら曲輪と見紛う馬出の規模感や、堀と石垣に挟まれた通路の狭さなどの防御機能が何となくわかるかな。
そりゃ本丸の表門ががら空きの訳ないですよね笑
二之丸
ここから二之丸を見ていきます。
かつては将軍の御座所、本丸御殿に機能が移ってからは藩主の住居として二之丸御殿が置かれていました。
二之丸庭園、弓道場や馬場なども置かれた広い二之丸も、今はよくある芝生の公園ですが、実は今も見どころもたくさん。
東南隅櫓を見ながら北上して、
本丸搦手馬出へ
遠望ですが、こちらも石垣と門で馬出があったかつての様子は少しうかがえるかな。
どこへ行っても堀と馬出に阻まれる、近くて遠い本丸ですね。
まぁそんなのんびり眺めていられる場所ではないですけど。
かつて御殿があったあたりは、前述の通りいわゆる城址公園の趣ですが、
北側隅には当時の名残も見られます。
こちらは本丸搦手馬出との堀に築かれた埋門跡
非常時に藩主が脱出するための門でした。
今も門の痕跡が見られます。
北面には南蛮練塀
南蛮たたきで作られた土塀で、鉄砲狭間もあけられていました。
かなり風化が進んでいて、今や柵より低いですが、それでも残るあたり、説明板に非常に堅固と書かれた強度のあらわれでしょうか。
なんで普通の塀にしなかったんだろうとか、結構気になる興味深い遺構だと思いますが、あまり人がいなかったんですよね。もったいない。
二之丸にはこんなものもありました。那古野城の碑
二之丸の御殿があったあたりに、その前にあったのが那古野城。
今川氏親が築き、氏豊が城主を務めました。
1538年には織田信秀が奪い、信長が居城としていた時期もありましたが、1555年に清須に移ってから廃城となりました。
廃城となってから名古屋城が築かれるまでは荒野だったとのことですが、同じ場所に再度城が築かれたことを思うと、皆が感じる築城の適地だったのでしょう。
二之丸庭園
今の二之丸で最も敷地をとっている二之丸庭園へ。
かつて二之丸御殿の北に整備された二之丸庭園は、十代藩主斉朝の頃に大幅に拡張され、御殿の庭園として日本一の広さを誇りました。
明治維新後、軍用地となり一部は失われましたが、調査結果を元に再整備が行われ、今に至ります。
そんな整備された二之丸庭園で一番印象的だったのが、こちらの北園池
北御庭と呼ばれる区域の中心にあたり、見ての通り池と石組からなります。
これは江戸時代の様子をほぼ留めているとのこと
庭を語る知識はなくても、巨石と深い池からなる荒々しさは圧巻でした。
写真右奥の築山も江戸時代の絵図にも描かれたもので権現山と呼ばれます。
二之丸庭園で1番高く5m70。規模が大きいのは横だけでなく、縦もでした。
絵図でも東庭園に描かれた南池。こちらは発掘調査で確認されたもの。
池は多くの庭園に置かれていますが、この池の広さも目を惹くものでした。
これでも東庭園の一部に過ぎないんですから、全体の規模たるや推して知るべしです。
二之丸西、東鉄門
二之丸庭園を見終わると今の東門に到り、有料区域は終了。
ですが、まだ見どころは終わっていません。
というか、今は仕切られていますが、かつての二之丸も終わっていません。
ドルフィンズアリーナが建つ付近も、当時の二之丸、馬場が置かれた場所でした。
そしてその西側に二之丸の大手門、西鉄門が置かれていました。
今もひっそりと、というには大きな枡形が残り、
外門に当たる大手二之門も残ります。
この枡形虎口は、当時は多聞櫓が囲んでいました。
大手だった外門、かつ現存建築のはずですが、今は人も少なく、落ち葉も溜まって裏門のような雰囲気。
二之丸の搦手、東鉄門の外門だった二之丸東二之門も、本丸搦手に移設されて人が少ない寂しい状態でしたし、二之丸の現存の門たちはなんだか不憫ですね。。
そんな気持ちを汲んで?、二之丸東側の東鉄門へも向かいます。
枡形と
外門があった石垣。
規模も石垣の精緻さも素晴らしい。
地下鉄の駅も近く、人も多いので東二之門を置いておいても良かった気もしますが、事情があったんでしょう。
最後は、二之丸外周をぐるっと見てまわります。
今は市街化された三之丸とを仕切る深くて広大な空堀。
ここまで広いともはや堀というより曲輪がおけそうなくらい。
そう思ったのは私だけではない様で、一本外側の堀、三之丸外堀を名鉄電車が走っていた時期がありました。
今はさらに近くを地下鉄が走っています。
訪問時は見た目で必死に?最寄り駅をアピールしていましたが、今は駅名も名古屋城駅に変わったはず。
北側の水堀へ。
広大な水堀越しに今まで見てきた曲輪を眺めます。
この辺のアングルなんか、建築物がないこと以外は当時のままじゃないかな
締めはやはり美しい西北隅櫓
いつまでも見ていられる美しさに後ろ髪を惹かれつつ、次の城へ向かいます。
感想
満足度 4/5
何度となく観光で訪れた名城ですが、ある程度城めぐりを経験して改めて訪問すると、その縄張のシンプルさに逆に驚かされました。
シンプルながらも十分な防御性はあるようにも思えて、時代背景ゆえなんでしょう。
復元された本丸御殿は言うまでもなく見事。
これだけを見るために名古屋に足を運ぶ価値は十分にあります。
本丸も早く入れるようになるといいな。
アクセス
- アクセス
電車・バス:地下鉄名城線 名古屋城駅(旧市役所駅)から徒歩約5分
車:名古屋高速都心環状線 丸の内ICから約5分
有料駐車場あり - スタンプ・開館時間
正門改札所、東門改札所、総合案内所
開館時間:9:00~16:30
休城日:12月29日~1月1日
入城料:大人500円、名古屋市内在住高齢者100円、中学生以下無料 - 城跡
同上 - 所要時間
1~1.5時間 - 付近のスポット
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