韮山城に引き続き、お隣の江川邸を見学。
家主の江川氏は、韮山城が北条の拠点だった頃も、江戸時代もこの地の有力者でした。
江戸時代から続く広大な屋敷はもちろん、36代英龍の偉業の数々も含めて、解説を聞きながら回れて良かった。
というようなことを、現地で初めて知りましたが、語りたくなる偉人ゆかりの地です。
概要
江川邸は、平安時代末期より移り住み、江戸時代には代官を務めた江川氏の住宅です。
室町時代に築いた部分と江戸時代に修築された部分を含む主屋やその周辺を含めて、国指定重要文化財です。
余談ですが、江川家は保元の乱の後この地に移ったとされ、伊勢宗瑞の伊豆進出に際しても土地を提供して韮山城を築かせ、しばらくは北条氏の家臣となっています。
また、当主は代々江川太郎左衛門を名乗る風習がありました。
訪問記
韮山城訪問からその足で訪問です。
ここまでの道中、公的な道路標識にも名前が書かれていて、由緒があることは分かったのですが、失礼ながら存じ上げず。
駐車場を借りたし訪問しないのも悪いか、という程度で、何も知らずの訪問でした。
邸宅周囲の堀を越えると個人宅とは思えない枡形になった広い広い広場がありました。
この写真正面の門は表門。右手の芝生が枡形の広場です。
代官が外出する際、人数を揃える場所や、幕末には農兵の訓練場に使われたそう。
そういわれても不思議でないくらいに広かった。
そして、ここで36代江川英龍さんの偉業その1を知ることになります。
日本で初めて西洋式軍隊を作ったとされる英龍が(これも凄いですが)訓練で用いた号令が「右向け右」「気を付け、前へならえ」でした。
当時の西洋式軍事訓練におけるオランダ語の号令を英龍が訳してもらったもの。
ぴったりの翻訳をした人もすごいですが、今も残るほど定着させた英達さんもすごい。
枡形奥には表門
1696年に作られた薬医門です。
歴史を感じる立派な門を抜けて邸内へ。
早速主屋が見えてきました。
銅板葺きの緑青の屋根が美しい。
かつては茅葺でした。その姿もさぞ立派だったことでしょう。
さすがに今もここからは入れないので、裏へ回っていきます。
道中、梅林を抜けます。梅林がかつて代官役所があった場所。
裏から主屋へ。
入ると早速広い土間
広さもそうですが、特徴的な天井の骨組みに目を奪われます。
天井板が無いため、屋根裏をそのままみられる構造です。
不勉強だった私でも気づくぐらいなので、これは本当にすごいのです笑
外からの光が入るため、広い土間でも十分に明るいのも特徴的でした。
立体感を感じるアングル、のつもり
あと、土間の片隅には釜戸に大砲!
さすがは古くから続く名家です。
でも、唯一説明があったのは、これらではなく、こちら。
パン焼き窯です。
1842年4月12日に日本で初めてパンを焼いた窯に使われていた石の一部で復元。
これが英龍の偉業2つ目です。
英龍は日本で初めて兵糧としてのパンを焼いた偉業からパンの祖と呼ばれています。
軍事上、保存がきく観点からパン着目したもので、硬いものでした。
主屋内に展示されていたのが、そのパン祖のパン 響きが良い笑
堅パンかクッキーのような見た目。
堅そうですが、美味しそう。きっと。
現代なら甘くするでしょうけど、甘くは無いんだろうなぁ。
土間から主屋内部へ。
中は江川家の歴史、英龍の偉業の紹介がたくさん。
そこで紹介されていたのが、世界遺産韮山反射炉と続百名城品川台場の建築。
いずれも英龍が指揮して建設されました。
幕末の動乱期、海防に関心を抱き、日本に西洋砲術を普及させた英龍による偉業です。
あと、種痘もオランダから導入し、推進していたという英龍
もはやスーパーマンすぎて、もう分かりません。何か大事な他の偉業を忘れていそう。
江川家も平安時代から代々続く名家ですから、古い品々がたくさん並んでいました。
高札も普通にその辺にありますし、囲炉裏もあります。
幕末には主屋では砲術を習う韮山塾も開かれていました。
この机で勉強していた、のでしょうかね。この韮山塾も英龍の偉業の一つです。
邸内の江川家略史の英龍の欄だけ業績が多すぎて別書になっていたのが少し面白かった
主屋を出て、周辺を見て回ります。
改めて緑青が映えます。
西蔵
正面から見ると将棋の駒のように見えることから駒蔵とも呼ばれました。
四方の壁が少し内側に傾いた四方転びという技法で作られていたり、軒の屋根が伊豆石で葺かれていたりとかなり特徴的
隣にも米蔵が二軒建っていましたが、こちらは説明なし
西蔵に特徴的な部分が偏りすぎじゃないかな笑
井戸や
パン祖の碑
武器庫もありますが、
見どころは裏門
1823年築。ですが、門扉は小田原攻めの際の頃から使われているとされます。
門扉にたくさんの穴が開いていますが、これが鉄砲や矢の跡とされます。
隣に韮山城も直ぐ近くに江川砦もありますし、ない話ではないでしょう。
もう少し時代が下った話では老中の方がここから見える富士山に感動したとされます。
見えませんでしたが…
という裏門を見て江川邸終了
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