にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

百名城 岩村城 (38・岐阜県恵那市)2/2 -残雪の三大山城 六段壁を抜けて本丸へ

岩村城訪問の記憶、後編です。

麓から登ってようやくたどり着いた六段壁から本丸へ。
ここまでの素晴らしい遺構を越える壮大な石垣を見に行きますよ。

前編はこちら。

tmtmz.hatenablog.com

お城:岩村城 岐阜県恵那市
HP:http://onna-jyoushu.iwamura.jp/
訪問日:2017年7月、2022年3月

f:id:tmtmz:20220307213417j:image

訪問記

六段壁

前回、菱櫓を抜けて眼前に現れた六段壁から再開です。

その前にもう一度全体像をおさらい。
f:id:tmtmz:20220307213509j:image
出丸にあった案内図をお借りしています。

「現在地」が出丸になっていますが、六段壁からリスタート。
このあと時計回りに出丸、埋門、本丸へと向かいます。

という訳でもう一度、六段壁。f:id:tmtmz:20220307213842j:image
大手道を通ると、菱櫓下、俄坂門を抜けて、本丸直下にたどり着くと同時に現れる圧巻の六重の石垣。登場の仕方も相まって本当に印象に残る遺構です。

もともとは岩盤の上、最上部のみ築かれた高石垣でしたが、前面に崩落防止の補強を繰り返した結果、今の姿になりました。
f:id:tmtmz:20220307213838j:image
所々見えている岩盤が絵図にも描かれたものでしょうか。
ここまでして石垣にこだわった訳は、防御のためか、威厳のためか。両方かな。

段がはっきり見える残雪の姿も良いですが、草生した夏の姿もまた良いもの。
f:id:tmtmz:20220522203330j:image
時間の経過を一層感じられる気がします。

中央の石段を上ると本丸方面ですが、まずは外周を回って進みます。
f:id:tmtmz:20220307213506j:image

左手の二重櫓が建っていた石垣とともに名残の一枚。
f:id:tmtmz:20220307214006j:image
本当、よくここまでの石垣を作ったものです。

南曲輪

本丸外周をぐるっと回って、南面までやってきました。
こちらには出丸に置かれた駐車場へ通じる車道が通っています。

その車道の向こうにも遺構があります。それが南曲輪
f:id:tmtmz:20220307213557j:image
石垣に囲まれたこれまでとは全く違う雰囲気を残すこちらは、江戸時代に一部が侍屋敷として使われた以外は、戦国期のままと考えられています。

明らかな空堀
f:id:tmtmz:20220307213337j:image

そのまま竪堀として落ちています。
f:id:tmtmz:20220307213224j:image

進むと一層深い空堀が現れて、
f:id:tmtmz:20220307213422j:image
f:id:tmtmz:20220307213234j:image
南端の曲輪へ到着
f:id:tmtmz:20220307213749j:image
さしたる広さではありませんが、石垣メインの近世城郭と思い込んでやってきたところ、意表を突かれた山城遺構に得した気分になりました笑

出丸

戻って出丸へ。右手が本丸石垣。足元が出丸へ続く車道です。
出丸まで車で行くと楽ですが、道はなかなかに細いのでお気をつけて。
f:id:tmtmz:20220307213615j:image

こちらが出丸全景。
f:id:tmtmz:20220307213953j:image
本丸南西側の守りを務める曲輪には、2棟の二重櫓に3棟の多門櫓が置かれていました。
二重櫓に太鼓櫓、多門櫓に大工小屋があるなど、日常面でも役割をもつ曲輪でした。

出丸から本丸を見上げます。
f:id:tmtmz:20220307213600j:image
出丸も十分に高いですが、本丸は当然ながら一層高所にあります。
重なった石垣も良いですが、ここのようにドンと広がる石垣もまた良いものです。

ですよね?笑
f:id:tmtmz:20220307213937j:image

この石垣沿いに本丸北面へ。裏門にあたる埋門に到着です。
f:id:tmtmz:20220307213405j:image
両側と奥の石垣を覆うように櫓が建てられていました。
また、右側には納戸櫓という名の二重櫓がありました。

むかって左手の石垣は野面積み。江戸初期、築城当時のものと推測されています。
f:id:tmtmz:20220307213318j:image
先の写真でもそうですが、右側とは全く雰囲気が異なることが素人でも分かります。明らかに時代が古い。

このまま進むと本丸ですが、その前に振り返って、
f:id:tmtmz:20220307214022j:image
二の丸へ

二の丸

こちらは、解説もなく、かなり荒れています。。。
f:id:tmtmz:20220307213526j:image
二の丸は岩村城で最大の曲輪で、番所や役人詰所、米蔵、武器庫などがありました。
六段壁の手前で見た菱櫓も、二の丸に建つ櫓の一つ。

弁天池と弁財天社の跡地と思われる石垣
f:id:tmtmz:20240425234813j:image
言われないと分からない遺構ですが、けっこう特徴的。

その他にも石垣が残されていました。
f:id:tmtmz:20220307213736j:image
曲輪内部も仕切っていたよう。
ただ、ここだけは解説もなく事前知識なしではよく分からないですね。。。

本丸

もう一度、埋門を通って本丸方面へ向かいます。
f:id:tmtmz:20220307213552j:image
抜けると長局と呼ばれた帯曲輪に出ます。

埋門からそのまま本丸へ続く細い枡形門もありますが、
f:id:tmtmz:20220307213741j:image
棚門という冠木門もありました。
f:id:tmtmz:20220307213239j:image
山頂に出てもルートは複雑です。

埋門から本丸に出て、まずは全景
f:id:tmtmz:20220307213446j:image

f:id:tmtmz:20220307213435j:image
本丸には先述の納戸櫓を含む2棟の二重櫓に2棟の多門櫓がありましたが、内部は建物を置かず、広場としていたとのこと。

周辺には石で区切られたちょっとした高まりがありました。
f:id:tmtmz:20220307213832j:image
ここに多門櫓が建っていたのでしょうか。

気になる歴史方位盤を頼りに
f:id:tmtmz:20220307213956j:image
眺めを楽しむことができます。
f:id:tmtmz:20220307213306j:image
さすがに眺望が良いです。

本丸にも井戸が置かれていました。昇竜の井戸
f:id:tmtmz:20220307213136j:image
山頂でも枯れることがなかったそう。ここまで随所で井戸を見てきましたが、山頂にまであるとは。よほど水が豊富な良い立地で。

本丸南面にも石で区切られた区画。
f:id:tmtmz:20220307213441j:image
西面よりはっきりしているのはたまたまそう残っただけなのか、意図があったのか。

長局埋門

最後は本丸から降りて東面を探索です。こちらが大手からのルートですが今回は逆順で。

東側の長局とさらにその下の東曲輪。
f:id:tmtmz:20220307213454j:image
さすがの高低差です。

ここをつなぐ門が、東口門
f:id:tmtmz:20220307214009j:image

f:id:tmtmz:20220307213215j:image
埋門側より広い枡形門となっています。高さはありませんが、こちらが大手という感じがします。

さらにその下が長局埋門
f:id:tmtmz:20220307213935j:image

f:id:tmtmz:20220307213643j:image
多門櫓からつながる櫓門がありました。
綺麗で高い石垣です。この高さがあれば、内側の東口門が低めの石垣になっているのも分かる気がします。

外側には低い石垣も持っていて、
f:id:tmtmz:20220307213138j:image

外から見ると少し特徴的な形をしています。
f:id:tmtmz:20220307213414j:image
絵図と全く同じで理解しやすい。石垣は低いですが何用途でしょうか?

長局埋門の外は、東曲輪
f:id:tmtmz:20220307213332j:image
と言っても小さな曲輪で本丸に対する外枡形的な位置づけなのだそう。

続く門を抜けると、
f:id:tmtmz:20220307213627j:image
六段壁に戻ってきました。
f:id:tmtmz:20220307213417j:image
何度見ても美しい石垣です。本当に。

これで岩村城の散策完了。麓に戻って城下町をぶらつきます。

感想

満足度 4.5/5

山中に築かれた素晴らしい石垣の数々。そしてクライマックスに待ち受ける六段壁。
言葉も要らないすばらしい遺構たちでした。

車で出丸まで行った時より、麓から歩いた時の方が感動は一入でした。
疲労感、達成感もあるかもしれませんが、下から順に見ていったことによる感動が強いかな。

のんびり回って、麓から六段壁まで40分ほど、本丸までは1時間ほど。ぜひ麓から登って頂きたい名城です。

麓に描かれていた壮大な計画、実現しないかな笑

アクセス

岩村城