にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

大給城 (愛知県豊田市) -水の手曲輪が特徴的な大給松平家の本拠地 松平郷を巡る旅③

松平氏発祥の地を巡るショートトリップ、最後は大給城(おぎゅうじょう)

とても珍しい水の手曲輪の記事がたくさん上がってますが、行ってびっくり。
まさにダム。こんなものをあの時代に作ったとは。

巨岩がゴロゴロの城内も素晴らしく、山奥でも行く価値ありありです。

お城:大給城(おぎゅうじょう) 愛知県豊田市
HP:大給城址 | 松平観光協会

訪問日:2021年10月

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概要

15世紀末に土豪であった長坂新左衛門が築きました。

その後、松平家3代松平信光が奪い、三男親忠に与えます。
親忠が次男の乗元に譲り、大給松平家の初代として城主となりました。

乗元の子、乗正のころ、1510年にかけて城の大修築が行われたことが分かっています。

その後も大給松平家の城として受け継がれますが、1590年の徳川家康の関東移封に伴って6代家乗も上野に移り、廃城となりました。

訪問記

駐車場、虎口、郭2

松平郷から東海環状道豊田松平IC方面に少し下ったところに大給城はあります。

ちょうど松平トンネルというトンネルの松平郷側出口近くのわき道が入り口。
看板はありますが細い道で見逃しがちなので、ちょいと心づもりがいるかも。
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長くはありませんが1台分の道を進んで、
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大給城駐車場へ。
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この写真では余裕ありそうですが、帰って来た時は満車でした。
城内でも結構な人とすれ違いましたし、人気が伺えます。
百名城でも無いのに人とすれ違う山城は珍しい。

登城口へは駐車場から道なりで。
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松平城と同じ看板が設置されていて見逃す心配なしです。
城内の整備も行き届いていて歩きやすいのも良い。

途中、大給松平家初代、松平乗元墓所が分かれますが、いったん先へ。
登城口から5分程度で虎口に到着です。

入口の縄張り図で全体を確認
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大給城は東西に続く尾根に位置します。

東西に尾根を切る堀切A、B、Aの内側に虎口C、内部に郭2、主郭1が置かれています。
後述しますが、主郭1西部の物見岩Fからの眺めは素晴らしかった。

郭1,2の北にあるD, Eが噂の水の手曲輪、南側には少し広めの郭3が置かれています。

ここまでは普通のお城に感じるかもしれませんが、この図に岩がたくさん書いてあることが珍しい。
その通り、たくさんの巨岩を使った構造でした。

前置きが長くなりましたが、実際に見ていきましょう。

最初の堀切Aがこちら。
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巨岩もあらわに尾根を切る堀切からスタート。
巨岩ゴロゴロですが、往時は整然と石が積まれた状態だったのかな。

堀切とその先の虎口を眺めるとこんな様子。
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きっと左手の高所から私は狙われているのでしょう笑
反対側は崖になっていますし、ちょっと逃げられないな。

虎口を通って内部へ。
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右側の大きな岩に目が行きますが、左手前には石積みも築かれています。
細かなところまで気配りが見られます。

と言っても、やっぱり目が行くのは存在感ある大きな岩で。
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180度折れて郭2への虎口。
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こちらも巨岩をうまく使った厳重な虎口
左側はやはり石積で補強され、上は櫓台となっています。

巨岩もそうですが、古い山城で石積がしっかり作られているのも珍しい気がします。

郭2内部へ
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先ほどまでいた通路側に土塁が築かれ、変わらず守りの意識を感じる曲輪。

主郭側も、左手に高い土塁が見られます。
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内部にも巨岩が転がっています。絵の通り。
土塁の先は主郭の切岸で、そこもぬかりなく石積で補強されています。

そして土塁が無い北側は噂の水の手につながります。
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まだ木で見えませんけどね(笑)

最後に振り返って郭2の全景。
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広さを見るには端から撮らないと。
大給城3つの郭では一番小さいですが、それでもある程度の広さはあります。

主郭へ。
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右手を指す水の手曲輪の看板も気になりますが、置いておきます。気になりますが。

主郭

主郭入り口は立派な石垣で囲まれた坂虎口。
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至るところに石垣が残る大給城ですが、ここの石垣が一番すごかった。
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訪問時、修復工事も進めてくださっていました。ありがとうございます。

主郭はこの石垣を中央に東西に仕切られています。

西側
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奧は先ほどの郭2の土塁

東部
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こちらは尾根末端につながるので開けていて明るい。

入口の案内では両方合わせて主郭とされていました。
ただ、それぞれ広さを持っていますし、石垣を境に2つに分けて使われていたんじゃないかという気もします。

松平郷名物?巨岩の上の城址
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東屋もあるので、ハイキングでここでお弁当というのも良いかもしれませんね。
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主郭石垣でヘビを見かけたので、わたしは遠慮しますが。。。今の主郭の守り手かな。

主郭端部、縄張り図にも描かれていた物見岩へ
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物見岩と言われるだけあって見晴らしがよい。

若干フライングしましたが、改めて物見の気持ちになりましょう。
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素晴らしい見晴らし。濃尾平野を一望できます。
一方で足元にあるという堀Bは見えませんでした。森になっていますし。

この岩は穴があけてありますが、用途不明とのこと。
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物見台じゃないのかな、と思ってましたが、そんな感じの穴ではありませんでした。
小さいですし、後からあけられた何かでしょうか。

とか考えていたら、第2の守り手スズメバチ
主郭に攻め込むのは大変です。。。

水の手曲輪

今も主郭の守りは厳重だったので、撤退して見どころの水の手曲輪へ。
一般的な水の手と同様に水が集まりやすい一段下がった地にあります。

主郭と郭2の間から降りていきます。
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こちら側は結構ワイルドなので滑りにくい足元が良いかもです。
どこから降りればよいかわからず、ちょっと遠めから見学。

倒木の奧に堰堤のような高まりがわかるでしょうか。
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まさにダム。

水の手は湿地だったり湧き水だったり沢だったりの自然地形を利用することが多いですが、これは雨水や湧き水?を溜める作り。
ただここまで大きな加工は珍しいでしょう。

寄ってもう一枚
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今は土が貯まっていますが、これなら水貯まるだろうなぁ。
堰堤も石積で作られています。
今のダムに似ていて、ダムを模して作ったのでは(違

この堰堤、遠くにももう一つありました。
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奥の方が土のたまりが浅くて堰堤がよく分かります。
奥の様子を見ると手前も想像以上に深かったのかもしれません。本当にほぼダム。

郭3

水の手を堪能したら、行き方が最初分からなかった郭3への道を探します。
最初の虎口から180度曲り切らず、郭2の南隣を進んでようやくたどり着きました。

他の郭から一段下がったところに開けた郭3がありました。
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岩が無いからか、穏やかな印象を受けます。
だだっ広くて居館があった姿を想像できます。さっきまでの岩場が嘘のよう。

松平乗元墓所

最後は尾根伝いに戻って、大給松平家の始祖、松平乗元墓所
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案内板によると文政天保の頃に作られた墓所は、年月は感じるものの今も綺麗でした。
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三つ葉葵扉の奥に墓所
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今も手入れを続けられている様子が見られます。

お邪魔したお礼も兼ねてお参りして、大給城終了です。

感想

満足度 5/5

巨岩転がる城内、虎口など随所に残る丁寧な石積、主郭石垣など、遺構は素晴らしい。
物見からの眺めも綺麗でした。
水の手曲輪はダムにしか見えませんでした。こんな大きなものをよく作ったものです。

アクセスが良ければ続百名城になっていてもおかしくないとも感じました。
道理でたくさんの人とすれ違った訳です。

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