にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

宇津ノ谷峠 明治のトンネル(静岡県静岡市・藤枝市)

緊急事態宣言明けの週末。
宣言が解除されたとはいえ遠出はできないので、近所の明治のトンネルまでサイクリングしてきました。

久しぶりに最近の史跡探訪記です。

f:id:tmtmz:20200517195938j:image

宇津ノ谷峠

宇津ノ谷峠は、静岡県静岡市藤枝市の間にある峠です。
東西をつなぐ東海道が古くから通っており、平安時代の山越え道(蔦の細道)から、現在の国道1号バイパスまですべての道が通行可能な状態で保存されている珍しい峠です。

 

道の変遷は大体こんな感じ。

  1. 平安以前:太平洋側の日本坂峠を通る道(古代東海道
  2. 平安時代:宇津ノ谷峠を越える「蔦の細道」が利用される
  3. 1590年(天正18年):豊臣秀吉小田原征伐にあわせて、より広い峠越えの道が整備される(旧東海道
  4. 1876年(明治9年):初代のトンネルが開削される(失火に伴い崩落した幻のトンネル
  5. 1904年(明治37年):初代のトンネル一部を利用して2代目となる宇津ノ谷隧道が開削される(明治のトンネル
  6. 1930年(昭和5年):自動車が通れる昭和第一トンネルが開削される(大正時代に計画されたため、大正のトンネルと呼ばれる)
  7. 1959年(昭和34年):交通量増大に伴い、より低い位置に新宇津ノ谷隧道(昭和第二トンネル いわゆる昭和のトンネル)が開削される
  8. 1998年(平成10年):さらなる交通量増大に伴い、昭和のトンネルの隣に平成宇津ノ谷トンネルが建設される

こう見ると全部の道を通ってみたくなりますが、今回は手始めに明治のトンネルを通りました。

訪問記

宇津ノ谷集落

今回は、静岡市側から自転車で訪問しました。

静岡市からだと、国道1号の道の駅宇津ノ谷峠を過ぎてトンネル手前の道を左手に折れて陸橋を渡って到着です。

f:id:tmtmz:20200517200025j:image
集落入り口の看板
看板にも明治、大正、昭和、平成のトンネルが書かれています。

宇津ノ谷峠は古くから東海道の難所であったこともあり、峠を行き来する人が休憩する間の宿として宇津ノ谷集落が成立しています。
今も景観を大事にした昔ながらの落ち着いた集落の雰囲気を残しています。

f:id:tmtmz:20200517195945j:image
今は昭和、平成のトンネルが峠の下を通っていて脇道の集落になってしまいましたが、その分車通りも少なく、古くからの景観が似合う落ち着いた雰囲気です。

f:id:tmtmz:20200517195955j:image
雰囲気を大事にした案内板もあります。

家並みの中に、豊臣秀吉小田原征伐に向かう途中に休憩し、陣羽織を与えたお茶屋さんもあります。
今回は時期も悪くて立ち寄りませんでしたが、落ち着いたら陣羽織を見てみたいところ。

f:id:tmtmz:20200517195835j:image
集落を上から。明治の頃はそんなに長いトンネルが掘れなかったので、明治のトンネルは集落の上にあります。
山間の小集落、という雰囲気が良いですね。自転車でも、10分とかからずに通り過ぎてしまいました。
さて、メインの明治のトンネルへ。

明治のトンネル

距離としてはすぐですが、自転車ではきつい坂を超えて、明治のトンネルに到着です。

入り口手前にちょっとした広場とベンチがあるので、ハイキングにも良いかもしれません。

f:id:tmtmz:20200517195938j:image
静岡側のトンネル入り口

レンガ造りの小さなトンネルですね。レンガというところがおしゃれです。
手前の苔むした壁も雰囲気があります。
当時は自動車もなかったので、これくらいのサイズで十分だったのかと思うと、時代の移り変わりも感じます。

この静岡側は初代トンネルではありません。
幻の初代トンネルは、当時の測量技術の未熟さから、くの字になってしまい、再建の際に静岡側が直線になるように修正されました。
初代トンネルが崩落した原因も、くの字にあります。
見通しが悪くなったため、照明用にカンテラを置いていたところ、トンネル内部の角材に燃え移ってしまったことで崩落してしまいました。

さて、中へ入ります。

f:id:tmtmz:20200517195849j:image
中もレンガ造りです。電気の照明がつけてありますが、結構な暗さです。

真っすぐになった明治のトンネルでもこの暗さなので、初代トンネルはどのくらい暗かったのか気になります。
日本初の有料トンネルだったそうですが、そんなものでお金をとってよかったのか(笑)
でもそれだけ峠越えからトンネルになったことが画期的だったのでしょう。

f:id:tmtmz:20200517195952j:image
内部もすべてレンガ造りです。手がこんでいます。
白くなっているのは何なんだろうと考えていたら、あっという間に通り過ぎてしまいました。長さは203mと、こちらも短めです。

f:id:tmtmz:20200517195949j:image
藤枝市側のトンネル口です。静岡側と同様に派手な意匠はありませんが、レンガ造りのおしゃれな作りです。
上に、右から左に宇津谷隧道と書かれているのが時代を感じさせます。
藤枝側は初代は角材で作られていたとのことなので、こちらも再建で大きく印象が変わったということですね。

f:id:tmtmz:20200517195838j:image
銘板。登録有形文化財にも指定されています。

f:id:tmtmz:20200517195842j:image
トンネルから藤枝市側。こちらは素掘りの崖となっています。
落ち葉に気をつけながら坂を下って訪問終了です。

感想

いわゆる明治の雰囲気を保ったレンガ造りがおしゃれなトンネルでした。
宇津ノ谷集落を含めても小さなスポットですが、日帰りのちょっとしたお出かけにはちょうど良いかもしれません。
お店もいくつかありますし、落ち着いたころには、秀吉の陣羽織や、近くのお寺の名物の十団子というものも食べてみたいところ。

ただ、トンネルの中はかなり暗いので夜には訪問したくないですね(笑) 
Googleに心霊、とサジェストされるのもわからなくはないです。

基本情報

宇津ノ谷明治のトンネル
静岡市駿河区宇津ノ谷

↓気が向いたら押してやってください

にほんブログ村 旅行ブログへ