にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

宇陀松山城周辺散策- 門跡をたどって城下町を散策

宇陀松山城を回ったその足で、麓に残る遺構と城下町を散策です。

麓の門跡は、とても立派でスルーするのは惜しい施設。
そして城下町は、宇陀千軒と呼ばれた名残を強く感じさせる魅力的な風景。

登りと下りを別ルートにして麓の散策をいれたのは正解でした。

宇陀松山城の記憶はこちらから。

tmtmz.hatenablog.com

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春日神社・春日門跡

宇陀松山城から春日門ルートで下山したところから再開です。
まずは現在いる春日神社を参拝しましょう。
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右奥から出てきて、左奥へ向かう形です。

境内の看板によると創建は分からないものの、少なくとも1594年の絵図には春日社として社地が記されていたとのこと。
当時から西口関門、春日門、春日神社を経て城へ向かう大手道が描かれていて、今日残る春日門ルートは豊臣時代以降の大手道に相当するのでしょう。
今進むルートがそのままそれにあたるということになります。

春日神社は郭としても機能していたと考えられるとのこと。
先ほど見かけた石垣はその関係なのでしょうか。

参拝を初めて最初に見かけたのがこちらの水鉢
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寄進の字の通り寄進したのは、宇陀松山藩を治めていた頃の織田家重臣でした。
1693年の寄進で、翌年には織田家は国替えとなっており、宇陀松山藩時代の織田家最後の時期の品です。

もう一つ入り口に歴史遺産
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こちらは鎌倉時代、1291年作の銘文の残る、五輪塔の地輪、を用いて作られた水鉢です。

鳥居をくぐって境内へ。
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石垣で二段に分けられていて、このあたりも防御機能と関係あるのか気になります。
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上段まで進んで、お参りしていきましょう。
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朱色が綺麗で印象的な社殿です。

境内はおそらくこちらで全部。大きくはありませんがよく整備されていて綺麗で、地元で信仰を集める神社という様子を感じられました。

ちなみに、手水舎の後ろに宇陀松山城から続く抜け穴があるとも言われています。
だいぶ距離はありますが、信じるか信じないかはあなた次第、でしょうか。

春日門跡

さらに大手筋を遡っていきます。春日神社からほど近くの春日門跡へ。
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今も2つの櫓台が残る春日門は、16世紀末~17世紀初頭に築造されたと推測されます。
現存する櫓台は17世紀後半の織田家時代に作られたものです。
もちろん防御施設であるとともに、武家地と町人地の境界でもありました。

北に向けて設けられた櫓台のうち東櫓は特に大きなもの。
大手筋から見える場所にもあり、城下町の象徴的な建物であったと考えられています。
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東櫓足元から右奥の大手筋を見る構図。大手筋のつきあたりにあることが分かります。
当時は立派な櫓が建てられていたのでしょう。

松山城西口関門

さらに大手筋を遡ります。松山城西口関門へ。
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大手筋沿いに城下町を仕切る門が松山城西口関門。
橋と門は直角に相対しており、

門の内側でも道が180度屈曲している念の入れようです。
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こちらも16世紀末~17世紀初頭の造営と推測されています。
春日門と同様に、時の城主、福島氏が築いたのでしょう。

高麗門形式の門はその色から黒門とも呼ばれました。
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そしてこちらは現存。
ここから春日門を通る大手筋を歩くと、福島氏以降、現役当時の宇陀松山城大手道の様子が非常によく分かります。
スタンプのあるまちかどラボからは少し離れていますが、ぜひ足を延ばしたいところ。

城下町散策

ここから城めぐり開始地点の道の駅宇陀路大宇陀まで、城下町を通っていきましょう。

秋山氏の頃に始まる城下町は、福島氏の頃に拡張、織田氏の頃には町人町を定め、400軒を超える商家が立ち並ぶほどになりました。
その後、織田氏は移封されますが、町人町は奧宇陀、吉野、伊勢方面と奈良盆地を結ぶ地の利を生かして宇陀千軒と呼ばれるほどに栄えました。

今も当時の名残を残す町並みが広がります。
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良い雰囲気です。左手に写るのは植田家「かぎや」
材木や油、米穀等の取引を営んでいました。江戸時代末期の建物とみられるとのこと。

ここから大手筋を通って上町通りへ。

こちらも歴史ある建物が立ち並びます。
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看板が出ているところも含めて、良いです。ホント。

右手に写るは霜永家「内牧屋」
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造酒屋を営んでいた、江戸時代後期の建物です。
なお、随所に設置された建物の解説は、歴史以外に建築の特徴に関する情報も記載されていました。気になる方は現地へ。

霜永家のお向かいには現役の薬局も。
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軽く調べた感じでは見た目の通り非常に歴史ある薬局のようです。

さらに進みます。森田家住宅「諸木野屋」
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江戸時代後期の建築で、明治初年まで薬屋や雑貨を扱っていました。

特徴的なのは前面の戸袋に利用された古い薬の看板
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播州加古川、阿波といった文字が読み取れます。さらには遠く長崎から仕入れた西洋薬の看板もあるのだとか。

お向かいには立派な唐破風のついた看板を掲げたお宅。
今は宇陀市歴史文化館「薬の館」となっていますが、かつては薬問屋だった細川家住宅を再利用したもの。
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看板とは思えない手の込みよう。
先の森田家の幅広い関係先もそうですが、当時の繁栄をうかがい知れる気がします。

ここが今も薬の館となっているのは、この地が古来薬の町だったから。
古くは611年にこの地で薬猟が行われたことが日本書紀(!)に書かれており、江戸時代には私設の薬草園が置かれるなど、薬と深いかかわりを持っていました。
薬関係の旧家の多さ、繁栄の形跡からしても一大産業だったことがよく分かります。

細川家は大手製薬企業の創始者につながる血筋でもあります。いやはや本当に名門で。。。

この先、同じように軒先に特徴的な看板を掲げた家が続きます。
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奧は和菓子で手前は奈良漬。かつてこういう看板が流行っていたのでしょうか。
今見るとどちらも気になる佇まいで、入ればよかったなぁ。

まだまだ雰囲気の良い町並みは続きます。うだつの上がる家もあったりして、見ていて歩いていて楽しい。
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軒先にかかっていたこちらの看板も薬草関係。本当に薬と縁が深い町です。

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黒川家
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重厚な建物はこちらも江戸時代のものと推定されており、主に葛を扱っていました。

やはり歴史を感じる看板が掲げられていて、なんと現役。重厚すぎて全く気づきませんでしたが。。。
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近くにはもう1軒吉野葛を扱うお店が開かれています。森野吉野葛本舗
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こちらは入ってみようかだいぶ逡巡した記憶があります。お昼ご飯を優先してしまいました。

右手に写るのが森野旧薬園。これが先に触れた江戸時代の私設薬草園です。
今も残っていて一般公開されているよう。驚きです。

最後は少し歩いて、宇陀松山まちづくりセンター千軒舎
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こちらも明治時代前期の薬屋、歯科医院を使った施設です。
中は建物の説明やかつて地域で使われた看板の展示など。
広くはありませんが、珍しく入りやすいので笑、ふらっと入ってみても良いかなと。

千軒舎近くが、最初に訪れたまちかどラボさん。その先も雰囲気よい町並みが続きます。
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が、あいにく空腹の限界、スタート地点の道の駅に戻って、
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美味しく柿の葉寿司を頂きました。
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これで、宇陀松山城の城下町散策は終了。次へ向かいます。

一見さんには扉を開ける勇気がでない施設もありましたが、外から見るだけでも魅力的な街並み。
大手筋の春日門や西口関門を見たその足で回ってみる価値はありました。

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