歴史の有名な舞台は今、入り口から大きな磔看板が出迎えてくれるインパクト大の場所になっています。
偉大な地元のヒーローに詳しくなるのも良いのではないでしょうか。
2022年4月更新
お城:長篠城 愛知県新城市
HP:国指定史跡長篠城跡の案内:新城市
訪問日:2017年1月、2017年8月、2022年1月
概要
1508年、土豪の菅沼元成が今川氏親の武将として築きました。
今川義元の死後、菅沼氏は家康に属しますが、信玄の侵攻により武田氏に属します。
1573年、家康が城を奪還、奥平貞昌を城主に任命しました。この際、大改築されます。
1575年、奥平貞昌が城主の際、武田勝頼軍が長篠城を攻めます。
奥平軍500に対して、武田軍15000。
落城寸前まで追い詰めますが、織田・徳川連合軍の援軍が到着、死守しました。
1576年、新城城を築城し、長篠城は廃城となりました。
訪問記
何度目かの訪問ですが、縄張りへの興味が強まってからは初めて。
城内をJR飯田線が通る現状でも遺構はたくさん残っています。
地元新城市も史跡めぐりの巨大看板を作って盛り上げていますし。
別の目的地があってこの看板を巡る時間はありませんが、またそのうち来ようかな。
何回見ても強烈な印象を持つ鳥居強右衛門の磔看板を目印に長篠城に到着。
スタンプのある長篠城址史跡保存館も車を置いてすぐです。
長篠城の攻防、鳥居強右衛門の活躍、その後の設楽原決戦などが、年季が入ってはいますが分かりやすく展示されています。
もちろんスタンプも。
スタンプ台は窓口にも建物外にも置いてあります。
モデルは土塁上の石碑だと思いますが、背景はどこでしょうか。。。?
保存館は城域内にあるので出たらすぐ城跡散策開始です。
その前に縄張り図を見ていきます。
長篠城は宇連川と豊川が交わる地にあります。
川の合流点付近に本丸が置かれます。
さらに本丸は、周囲三方を川に囲まれ、残りには堀が築かれています。
本丸から川を離れる北方に、順に帯郭、弾正郭、巴城郭、大手郭などが置かれます。
今の姿でいうと、保存館のある場所が帯郭で、本丸ははっきり、弾正郭も民家が置かれながらも様子は分かりますが、様子が分かるのはそのあたりだけです。
という訳で保存館から出ると正面は帯郭から本丸への土橋
深い深い堀と本丸土塁が残ります。
この堀の幅はなかなかに大きい。
断崖ではない唯一の方向にこの深い堀とは、堅固な要害です。
早速本丸へ
手前側は土塁に囲まれていますが、川に面した奥は断崖絶壁で開けています。
こちらは先ほどの堀に面した土塁。
登ってみましょう。
年季の入った城址碑のある土塁上から本丸側。
下から見るより高さを感じます。高所恐怖症を発症しそうな笑
堀越しに帯郭側。
堀の広大さがよく分かります。あと、駐車場のアクセスの良さも。
ただこの土塁はおそらく線路で分断されてしまっています。
本丸と宇連川の間を走るJR飯田線で、それ以上向こうに行けないのは残念。
本丸周囲には、そんな行けない場所の解説がたくさん。
という訳で、その解説を見ながら想像する時間です。まずは正面の山々。
長篠城を包囲する武田軍の砦は正面の鳶ヶ巣山方面にありました。
そこを家康家臣の酒井忠次が奇襲し、砦に詰める武田軍指揮官のほとんどが打ち取られ、砦は全て落ち、設楽原決戦へとつながることとなります。
こちらからよく見えると、向こうからも前に注目してしまう気持ちが少し分かるような
線路の向こうには、もう一つの郭、野牛郭がありました。
何となく平場が広がっていますが、線路で改変された部分はどうなっているのか。
もう少し南側には、宇連川と豊川の合流点もあります。
まぁ断崖絶壁過ぎて見えないので、正面の新東名の橋の方が気になるかも。
西側、豊川方面を眺めます。
こちらには長篠城のヒーロー、鳥居強右衛門の磔の地があります。
ここを散策される方には言わずもがなとは思いますが、簡単に鳥居強右衛門の逸話を。
鳥居強右衛門は、奥平家の家臣でした。
長篠城の攻城戦で武田軍の大軍に包囲された奥平軍は、岡崎城まで家康に援軍を要請することにします。
その使者として難しい役目に志願したのが強右衛門でした。
夜間、川を潜って包囲網を抜け出し、翌日午後には65km離れた岡崎城に到着します。
援軍は翌日に出ることになりましたが、強右衛門は援軍に先んじて長篠城に戻ります。
そこで援軍到着の狼煙をあげ、さらに入城を試みますが、武田軍に捕らえられます。
武田軍は援軍を知り、家臣として厚遇するので、援軍が来ないと伝えろと強要します。
強右衛門は表向き命令に従うよう見せかけて、城には援軍が来る旨を叫びました。
これにより強右衛門は磔に処されますが、城兵は奮起し守り抜くこととなりました。
その磔の場所が川の向こう側。やっぱり見える場所なんですね。。
ちなみに、長篠城入り口の磔の看板も、この強右衛門です。
城史史跡保存館外の百名城スタンプ隣にも、強右衛門
近くのJRの駅名(鳥居駅)にも強右衛門。
逸話を思うとこれくらい地元の大ヒーローになるのも頷けます。
あと少し城散策に戻ります。
2本の川の合流点に立地する長篠城、本丸沿いにはもう一本川が流れます。
こちらは小さな川ですが、滝になっていてやはり断崖絶壁
というか肉眼でやっとうっすら見えるような遠くに滝がありました。
三方が断崖絶壁という立地はかなり珍しい気が。
最後はシンボリックな碑を眺めて、
本丸を一周。
一見本丸付近しか残っていない長篠城ですが、城史史跡保存館から滝を挟んだ向こうにある弾正郭は痕跡を感じることができます。
こちらが(おそらく)土塁の痕跡。
この先は民家でしたのでここまでですが、翻って帯郭側はこんな景色。
城史資料館のある帯郭と、その手前の川の様子が何となく当時を残しているような。いないような。
この後は、設楽原決戦場へ向かいます。
感想
満足度 3/5
当時の様子を残すのは本丸近辺のみ、土塁と空堀や断崖から様子は分かるものの、ちょっと物足りない印象はあります。
それでも長篠城址史跡保存館の分かりやすい展示や、現地の看板から地元の思いは伝わりますし、何より有名な歴史の舞台というのは違います。
アクセス
- アクセス
電車・バス:JR飯田線 長篠城駅から徒歩7分
車:新東名高速道路 新城ICから車で5分
無料駐車場あり - スタンプ・開館時間
長篠城址史跡保存館
開館時間:9:00〜17:00
休館日:火曜 (祝日の場合翌平日)、12/29-1/3
入館料:一般220円、小中学生100円
開館時間外は1階のトイレの前にあります。 - 城跡
散策自由 - 所要時間
城跡だけなら30分 保存館も含めると1.5時間 周辺散策含めるとそれ以上 - 付近のスポット
百名城関連では古宮城や吉田城
新城市にはほかにも魅力的な山城がたくさんあります。
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