にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

大井川川越遺跡(静岡県島田市)

いつの間にやら稲刈りまで始まっていて、本当に季節が進むのは早いです。
ですが、前回に続けて夏の記憶。
大井川の川越に関する史跡を訪ねました。
かの有名な「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」の舞台となった地です。

大井川川越遺跡:静岡県島田市
HP:島田市観光協会

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概要

江戸時代、江戸防衛のために大井川の架橋や渡船は禁じられていました。
大井川は水量も多く流れも急だったため、川を越える手助けをする商売人たちが現れました。
当初は比較的自由に料金を決めていましたが、わざと深い場所を通って高い金をとることもあったそうです。(タクシーに乗ったらぼったくられた、というようなものでしょうか。)

これではいけないと、川を渡る方法や料金を統一するために作られたのが川越制度、その管理のための施設が川会所でした。
大井川川越遺跡は、その川会所を中心とした川越制度に関する遺跡で、江戸時代の川会所など川越に関する施設群が残されています。

訪問記

静岡に住んでいてもこの遺跡のことはなかなか知らず、たまたま紹介されていたのを見てフットワーク軽く翌日見に行きました。
何かのついでに前を通るような場所でもないんですよね。

車を島田市博物館の駐車場に置くと、いきなり石碑のお出迎え。

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川を越えている様子でしょうが、人の上半身が埋まっているのは正直不気味です。。。夜は見たくない。。
台の上に乗って、まさに川を越えている様子で写真を撮ることもできますよ。

川を渡るときはこういう台で渡るイメージでしたが、これでも水量によって今のお金で1万円前後かかっていたそう。
当たり前ですが、旅なんて簡単にはできませんね。良い時代になったものです。

脇のメインストリートへ向かいます。

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この地図にあるように、道沿いにかつての治水設備や川会所、そのほか川越関係の施設が残されていて、ふらっと回ることができました。

最初にある以降は せぎ跡。
大井川が増水した時に水を止めるための設備です。

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なんだか低い気がしますが、これで十分だったのか、これ以上作れなかったのか、昔はもっと高かったのか。
低くなってしまったのかな。

こちらは八重枠稲荷神社

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川越衆の安全を祈願して(または川で亡くなった人の供養を目的に)1760年に建てられたそう。
写真では見えませんが、社殿の石積みは当時のもので、大井川の川石を亀甲型にして積み上げたものとのこと。

続いて明らかに土手の跡と思われる高まりの前にこちらの看板。
江戸時代初期に築かれた島田大堤という堤防跡でした。
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今は道路になっていますが、こちらは立派な高さを誇っています。
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生垣の向こうの木が生えているあたりが島田大堤の上です。写真ではなかなか伝わりませんが…
ちなみにこの石碑は松尾芭蕉の句碑です。本当にいろいろなところで見かけます。

その大堤の隣に川会所
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この遺跡のメイン施設ですね。
川の深さに応じて料金を決めたり、川札(人足を雇うために必要な札)を販売したり、川を留める/開ける判断をしていた川役人がいたところです。

この建物は1856年に建てられたものが何度も移築されたのちに今の地にやってきたもの。
実際にあった場所から少しだけ大井川方面にずれた場所に移築されています。
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見た目は普通の古民家ですね。
中に入ることもできます。

中は無料、というか誰も人がいませんでした笑
川越で人を乗せた連台などが展示されていて、この遺跡で数少ない長文の説明板もあります。
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こんな感じで川越に関して説明が書かれています。読めないと思いますが。。

この先にも当時の建物がいくつも残されています。f:id:tmtmz:20200822172128j:image
ちらほら空き地もありますが、建物の復元が進められてだいぶ町っぽくなっています。
今も現役で人が住んでいる建物もあって驚きです。

写真左手に見えるカフェ風の建物がこの遺跡でほぼ唯一飲食物を売っている場所でした。
地元の大先輩方が楽しく談笑されていて私は入る勇気が起きませんでしたが。

散策を続けます。

こちらは札場。
川越の際に客から人足に渡された川札をお金に換えて、人足に賃金として渡していた場所です。
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中にも入れますが、あまり商売っけを感じない展示でした笑
この遺跡全般に説明は薄めだったので、説明会などにあわせて訪問した方が面白いかもしれません。

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札場軒先からの風景。舗装がなければドラマのロケなんかもできそうな雰囲気です。

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向かいは番宿。人足たちの集合場所でした。
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右に写っていた十番宿を近くで見学。
十番目まで必要なほどの人足がいたと思うと、当時の賑わいっぷりが伺えます。
島田側、金谷側ともに650人を超えていたそうです。

その向かいの仲間の宿という名前の建物。
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人足の代表者たちが会合を開いたところです。

荷縄屋
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荷造りをしたところ。同じような古民家なので看板と説明を読まないとスルーしてしまいそう。
朝市もやっているようですが、この日はお休み。

三番宿
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中から覗く蝋人形が怖いです笑

最後は1番奥にあった井戸
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いつ掘られたのかはわかりませんが、昭和29年まで使われていたそう。
もしかしたら川越をしていた当時も水くみをしていたのかもしれませんね。

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夏空がよく似合う景色です。タイムスリップした気分になれます。

軽く回れる小さな遺跡で人も少ないですが、建物はたくさん残されていて散策するには面白いところでした。

基本情報

大井川川越遺跡
静岡県島田市河原1

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