引き続き静岡のお城を巡ります。
こちらは昨年訪問した袋井市の久野城。
HPの量からするとおそらくマイナーといってよいところですが、遺構の残りもアクセスも地元の後押しも良いところでした。
地元に愛されるお城は良いところです。
お城:久野城 静岡県袋井市
HP: 久野城見学案内パンフレット/袋井市ホームページ
訪問日:2021年3月
概要
久野城は、今川氏の遠江侵攻の拠点として、明応年間(1492-1501)に配下の地元の戦国武将、久野宗隆が築きました。
宗隆の孫、宗能の代で久野氏は徳川家康に属し、1590年の徳川家康の関東移封に伴い、下総に移封されます。代わって豊臣方の松平氏が城主となりました。
関ケ原の戦いの後、再び久野氏が入ります。
1619年には家康の甥である北条氏重が入り、移封の後、1644年に破城されました。
東海道が見渡せる地に築かれた街道監視の城で、今も曲輪や土塁、竪堀が多数残ります。
訪問記
袋井市にある平山城、久野城へ。
バスでもアクセスできなくはないですが、車の方がアクセスしやすいですね。
駐車場も完備ですし。
駐車場にはしっかりとした説明板と縄張り図もあります。
また、トイレ脇にパンフレットも完備。
ありがたい配慮です。
パンフには見どころや
見学ルートも書かれています。
駐車場脇からさっそく登城。
旗も立てられていて、保存会の方々の気持ちが伝わってきます。
平山城で標高も低いので、ほとんど登ることなくあっという間に曲輪に到着できます。
上がると早速北の丸
左手の土塁は低くなっていますが、判別は可能。
横堀が走っているはずですが、そちらはあまりわからず。。
久野城は北側が尾根続き、それ以外が湿地帯の立地のため、今いる北側は尾根や横堀で守りを固めていました。
さて、パンフの道順は一筆書きにならないので、ここでは時計回りに曲輪を回ります。ごめんなさい保存会の人。
横堀を抜けると東の丸
パンフレットによると、松下氏時代の礎石建物跡が検出されています。
松下重綱はこの建物を江戸幕府の許可なく建築したため、移封、蟄居となりました。
先へ進むと大手に到着。
城の正面玄関たる大手は東側、東海道から油山寺(訪問記)への道に面して、松下氏の頃に整備されたと考えられています。当時は櫓門があったそう。
大きな看板が目を引きますね。
大手脇では隅櫓の跡が検出されています。
松平氏の頃と考えられる掘立柱の柱穴跡が見つかっています。
南側にはところどころ満開の梅?桃?の木。
散策当時、周りはまだまだ枯草だったので、余計に色が映えます。
ちなみにこのあたりの南側は当時は湿地帯、今も水田地帯です。
本丸側は下からでもわかる曲輪がたくさん。
これだけ曲輪がたくさん見えるのはなかなか無い気がします。尾根筋は二ノ丸ですね。
南端の南の丸に到着。ちょうど半分です。
当時から最も日当たりが良い曲輪で、城主の館がありました。
久野氏の館も検出されています。
本丸へ
ここまで周囲を回ってきましたが、ここから本丸方面へ上がります。
南の丸隣にある高見
やはり城主の館を守れる場所に作られたのでしょう。
見晴らしもバッチリ。東名高速の奧の東海道までよく見えます。
当時から東海道の監視が目的でした。
引き続き本丸を目指します。二の丸は細長く傾斜した曲輪
本丸との境目には井戸がありました。
こんな城の中心の高い位置に水が湧くとは。ちなみに今でも水が湧いているそうです。
ようやく本丸へ
とはいえ、広さはこれまでの曲輪とあまり変わらず。
ただ、櫓台と井戸の付近や北側などに破城された跡があるようで、当時はもうちょっといわゆる本丸っぽかったのかな。
振り返ると二の丸の全景が見えます。
ほぼ尾根そのままの細長い曲輪ですが何に使っていたのでしょうか。
二の丸からさらに一段下の三の丸もよく見えます
こちらはそれなりの広さを誇ります。
と言うかよく残っていますね。本当に。
曲輪を見すぎてどこを見ていないかわからなくなりそう笑
忘れないうちに三の丸にやってきました。
さらに降りて
西の丸
ここはパンフにも説明がないので何に使われていたか分かりません。。。
隣は主税(ちから)屋敷
地名からは家臣屋敷の存在が推測されています。
西の丸との境には土塁が描かれていますが、曲輪の境目が現地では分かりませんでした。。
主税屋敷の隣は北の丸、ということで一周ですが、最後にもう一つだけ。
登っていくと、、
大堀切
久野城最大の堀切です。尾根が続く北側と本丸を断ち切る重要な堀だったのでしょう。
まるで最近工事したかのようなサイズ感。
駐車場からのルートでは最初に目に入るので当然1回見ているんですが、メインディッシュは後に残すたちなので。。
感想
満足度 3/5
曲輪曲輪曲輪で立派に遺構が残るお城でした。
パンフレットや旗など、地元の保存会の方のご尽力がよく伝わるのも好印象。
平山城というかほぼ丘くらいの標高なので見て回りやすいのもありがたい。
あまりに曲輪が多くて頭がこんがらがるのと、現地には説明板はないので見学にはパンフレット必須です。